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手の平に携帯。 頭の少し良くない俺が、もう覚えてしまった登録番号1番。 ボタンを押して数秒待つ。 機械的な電子音の後に聞こえた声。 「ハイ…」 「庵ぃ?俺―――…」 プツ。 小さく音を立ててそれは切れた。 あの――…もしもし?庵ちゃん? それはねぇんじゃねェの? 二回目、懲りずにボタンを押す。 機械的な電子音。 『お客様がお掛けになった番号は……』 電源切りやがった……アイツ………。 ……京ちゃんをナメんなよ…………? 取りあえず分かってんだろうなぁ…庵ちゃん? 携帯を投げ捨てる。 壊れたような音がしたのは気の所為だと思いたい。 また買い替えかよ!!!クソ!!! お前の所為だよな?庵!! 左の壁を蹴りつける。 盛大な音がした。 「庵ぃぃ!!!今から行くかんな―――!!!!」 報告。 よし。 玄関から出て、隣の部屋へ。 ドアノブに手を掛けるとカチャリと音がして。 …………ロックしやがった………。 「庵――??開けろよ―――…」 インターホンを連打。 ドアノブを勢いよく鳴らす。 それでも庵は出てこない。 しゃーねぇな。 ドア壊すか………。 「庵――………開けねぇとドア壊すぞ?」 そう言って5秒間。 庵が快く開けてくれた。 「庵ィ……テメ……よくもやってくれたなぁ…オイ」 「五月蝿い」 不機嫌そのものの庵ちゃんに笑みが募る。 眉寄せてるコイツって可愛くね? 色んな意味含めてだけどな。 そんなワケでたった今決めました。 眉を(快感で)寄せた庵を見るために、今から頑張ろうと思います。 「庵ちゃん……?」 囁くような声に庵は眉を寄せて俺を見る。 「…………?」 だからその顔が堪んねぇって。 「セックスさして?つーかヤるし」 俺の言葉に庵が反応する。 顔赤いし。 すぐ熱くなるし。 「草な……ぅ……」 取りあえず、たぶん大声を上げて抵抗する奴に蓋。 バ――――カ。 喋らせてやんねぇし。 てっとり早くキスで。 さ――て…この意地っ張りを黙らすために少ない脳ミソ使うか…。 ドンドンと胸を叩きまくるコイツに言う事はあるけれど。 まぁでも今は……このキスを堪能しましょうか……。 腕の中で段々と大人しくなっていく庵に笑みを浮かべながら。 |
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